電力開発

Electric Power Industry

明治22(1889)年に名古屋ではじめて電燈が灯って以降、電力は中部の生活と産業を支え続けている。2018年度の中部域の需要電力量は1,295億kWhであり、日本全体の約15%を占める。この膨大な電力は火力・水力・原子力といった発電所、送電線や変電所といったインフラストラクチャーによって支えられている。

現在の中部域の電力の多くは中部電力株式会社によって発電・送電が行われているが、火力発電部門については平成27(2015)年より株式会社JERAへと引き継がれた。また近年では御前崎風力発電所などの風力や太陽光といった新エネルギーの開発も進んでいる。

中部地域において最初に電燈がともったのは明治22(1889)年の名古屋であり、東京から遅れること4年目の出来事であった。その後、時代は水力発電の時代に入り、豊富な水量と急峻な地形を有する木曽川水系では大井ダムをはじめとする活発な水力開発が行われた。その過程で乱立した電気事業体は、関東大震災や経済恐慌を経て統合が進み、中部域の電力は東邦電力が実権を握った。戦後には電気事業体の再編に伴い昭和26年い中部電力が誕生した。

そして日本は高度成長期に突入、安価な原油輸入や大幅な電力需要の増大を背景に時代は「水主火従」から「火主水従」となり、三重火力発電所(現在は廃止)を皮切りに沿岸域に多くの火力発電所が建設された。さらに昭和30年代には新技術として原子力が登場し、昭和51(1976)年には現在でも中部電力唯一の原子力発電所である浜岡原子力発電所が完成した。