四国インフラ031 仁淀川

ザ・清流


中四国地方でもっとも高い山である愛媛県の石鎚山南面を源流とする仁淀川(愛媛県内では面河川と呼ばれる)は、清流で名高い。四国山地の山ひだを縫うように蛇行を繰り返しながらまずは大きく南西へ進み、高知県境あたりから東へ進路をかえ、土讃線をまたぐ下流部で一気に南下し土佐湾へ流れ込む。上流から中流のほとんどの流域が山地であり、谷をうがちながら屈曲して流れている(穿入蛇行)。

両脇を迫り来るような山の斜面に挟まれ、空と山と川の三者が視界いっぱいに美しい構成を見せる。そして、水の透明度の高さに驚く。透き通るように河床がよく見え、また水面を見渡せば「仁淀ブルー」と呼ばれる美しい青色が広がる。まだ日本にもこのような水景が残っていたのかと見惚れる。

近世では、野中兼山が八田堰や八田二重堤防、宮崎の水越などの土木整備を行い、平野部への灌漑用水確保や洪水への防御機能向上を図った。明治期には、紙の原料となる植物(楮(こうぞ))を上流部で栽培し、下流の製紙工場へ舟で運びこむことが始まった。現代では、夏場を中心にレジャー観光客が多く集まっている。時代とともに人々と川の関係は少しずつ変われど、この青く透き通る美しい流れが人々の暮らしを支える<骨格>であることは、少しも変わっていないのではないだろうか。(尾崎)

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種別 水系
所在地 高知県
規模 幹線124km 総延長720km 流域面積1560㎢
管理 国土交通省四国地方整備局

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