パート19 “工場を愛でる”
じゃあ話題を変えて、工業地帯。八馬さんどうでしょう。工業地帯の魅力とは?
メインが来た(笑)
今回は、京浜・京葉工業地帯を、<肝臓>にたとえています。工業地帯って、肝臓みたいにいろんな機能があるので。
工業地帯の魅力ですか・・・。
港でもいいですよ。
港から話した方がよさそうですね。近代港湾って、都市のバックヤード機能が集積しているわけですよね。物流の、海運のやりとりなんで。だから、そこに当然、重工業的な産業も立地するし、物流の拠点も立地する。 まあ、そうですね。
地方都市で、港めぐりの船があったら、必ず乗るんですけど。そうすると、だいたい港の活動や産業が見えてきます。
例えば、富山では、アルミのインゴットが置いてあるわけですよ。隣接する火力発電所では、石油・石炭・天然ガスが使われていて、
そのへんがつながってくると、港や工業地帯も面白いわけですね。
東京だったら、いま写真出てるけど、ガントリークレーンが、キリンさんたちがいっぱいいるんで、物流の拠点っていうのがわかりますよね。もっと南に行くと、空港があって、その先が重工業地帯。まあ東京は、ちょっとデカすぎるけど。
東京は、工業的なところと、周りの近代的なビルのコントラストがいいですよね。
そこのコントラストは、面白いですね。僕も結構好きなのは、キリンが群れている向こう側に、都市がブワーって、高層ビルが広がっているっていうのが。かなりインパクトのある風景だなって。
この景色って、昔からですか。富山だったら、北前船でコンブとか運んでいる、っていう時代もあったわけですよね。
今の風景になったのは、でっかい船が着くことができる岸壁ができてからです。
クレーンがずらっと並ぶのって、戦後じゃないですか。
クレーンはそうですね。
昔のイメージでいうと、工業地帯はだいたい煙突が並んでてね。煙がモクモク出ている、っていうイメージなんだけど、今はそうじゃないですよね。
公害問題で、すっかり排煙は出せなくなったんで。
やっぱり、煙突に工場らしさを感じるな。ちょっと工場のイメージが古いのかもしれないけど。
千住のおばけ煙突は、なんで内陸にあったんですかね。あれは火力発電所ですよね。
当時は都心から離れていたからかな? 鉄道省も、その昔は、赤羽や蒲田の先の矢口に火力発電所があった。
火力発電所=海沿い、っていう印象ですけど。
昔、火力の燃料は石炭ですよね。
石炭をどこかから運んでくるんですね。
常磐炭田ですかね?
常磐炭田だから千住。それも一つあったかしれませんね。
常磐線は、基本的に常磐炭田と日立のための線路。常磐炭田の石炭は、質が良くて、大量に出たから。それを都心の方に持ってくる、
常磐線は、全線じゃないけど、けっこう早い時期から複線だったからね。
そういう意味では、都心に近くて、まちのキワに石炭の火力発電があった、というのは頷ける。
このおばけ煙突も、今はありません。煙突っていうのは、消えゆくビルディングタイプなんですかね。
いや、まだ結構ありますよ。清掃工場とか。
火力発電所の煙突も、まだ健在です。環境に影響がないように、無害化されたガスを出しています。
水蒸気なんだ。
煙突で思い出したのは、首都高の換気塔。新しい煙突ですよね。
そうですね。新しいタイプですよね。
煙突は土木なんですか、建築なんですか。
あの中に人が滞在しない、っていうことを考えると、土木ですかね。
品川線の換気塔は、建築基準法は適用しなかったと思いますよ。建築物ではない、と。
そう考えると、煙突デザインってのも、ドボクの新たな可能性かもしれませんね。
【次回へつづく】
座談会アフタートーク
■コンテナターミナルの仕組みを知る
今回話題となった港湾。コンテナターミナルのガントリークレーンが多くそびえ立つ景色を見たことがあるのではないでしょうか。
物流、特に輸出入の拠点にもなるコンテナターミナルは実際にどのようなことが行われているのでしょうか??
東京港を管理する東京港埠頭株式会社のHPには、コンテナ埠頭の作業や施設について詳しく紹介されています。
興味のある方は一度のぞいてみてはいかがでしょうか??
http://www.tptc.co.jp/guide/container/work
■グッドデザイン賞を受賞した換気塔
今回の座談会で煙突の話題が出てきましたが、実は高速道路の換気塔にはグッドデザイン賞を受賞したものがあります。
2008年には中央環状線(C2)、2017年には首都高神奈川横浜北線(K7)でそれぞれグッドデザイン賞を受賞しています。
換気塔は都市景観に与えるインパクトが大きいのですが、デザイン的に配慮されている視点をもとに見てみると
また違った印象になるのではないでしょうか?
http://www.g-mark.org/award/describe/34581
http://www.g-mark.org/award/describe/45746