パート21 “気分はウォータージェットスライダー”
首都高について、まだ話してませんでしたね。
次、撮影するときは、どの辺に気をつければいいですか。
やっぱり、まちとの関係。1964年東京オリンピックに象徴される経済成長期に、既成の高密度都市の中に近代道路交通網をつくるために、用地取得のハードルが低い運河や川の上をトレースして...
運河の中を。
まちの動脈だった運河を、それこそドライにして、そのまま使っちゃうとか。
船でモノ運んでいたところが、車に変わったとも言えるよね。
それを立体的に重層化している。それにジャンクションも、滅茶苦茶無理して作ってる。
あの狭い中で。
ですよね。他の国のジャンクション見ると、すごい伸びやかで、あんな緊張感ないですよ。
コンパクトで密度が高いのところは、すごいね。確かに。
ああいうのが東京らしいな、って思う。時々留学生を連れて、まち歩きする時に、ジャンクションめぐりするんですけど。アニメ好きのフランス人とか来ちゃうと、すげーって、ずっと写真を撮ってます。ギリギリのところを攻めてる、っていうのが魅力なんでしょうね。
ジャンクションですかね。見所は。
確かに一番形になっているのが、ジャンクションだよね。
運河の上を通ってるから、周囲の建物との距離が近い、ってのも特徴的。
それはありますね。今当たり前のように乗ってるけど。子供のころ初めて乗ったときには、本当にビックリしました。
単純に、景色がどんどん変わっていくのが面白いですよね。同じものが出てこない。これだけ均質な東京の中で。首都高に乗ると、つぎつぎとシーンが変わっていく。
名所めぐり的になりますよね。最高裁がある、東京タワー見えた、とか。
映画の『惑星ソラリス』でも出てきたけど、首都高はやっぱりすごいね。まさに1960、70年代の未来都市。
映画でも出てきますが、ボックス型の地下トンネルから、いきなり橋梁になって。地形を縫っていくわけです。ああいうシークエンスは。慣れないと、運転で緊張しまくっちゃいますよね。
次どう展開するかわからない。
僕、たまに三周くらいしちゃうんですよ。
それは三周したくて?(笑)
何も考えないで走ってて。もう一周するかっ、みたいな感じで。
わかる、わかる(笑)
地形や場所の知識があると、また楽しいですね。運転しながら、それを読み込む感じで。
大阪環状線は、わりとフラットだけど。東京は、アップダウンがすごいですからね。
たしか、水を横に感じる場所がありましたよね?
千鳥ヶ淵のところ。
千鳥ヶ淵、すごいですよね。ウォータージェットスライダーみたいな。
あれ、水の中に潜っていくような感覚だもんね。
すごい近いんですよね。しかも、そのまま地下トンネルに入っちゃうから。大丈夫か、これっ、みたいな。
やっぱりインフラは、ただ眺めるよりも、使ってわかる魅力があるってことですかね。
【次回へつづく】
座談会アフタートーク
■ドボ博で紹介している首都高関連の東京インフラ解剖
東京の「大動脈」としての役割を担う首都高。首都高の歴史は東京の戦後の歴史でもあります。様々なルートを実際に走り、そして地図で確認していくとこの動脈の複雑さを実感することができます。
ドボ博では「東京インフラ020 首都高」をはじめ、首都高の魅力でもあるジャンクションや橋梁についても具体的に取り上げて紹介してみます。ぜひご覧ください!