7月2日、予想以上の好天に恵まれた中、第2回となるドボ博街歩き「都心の鉄道トライアングル地帯を歩く」が行われた!!
今回はそのレポートをお送りするが、イベントに参加された方も、今後これを参考に街歩きする方も、ぜひこれを参照にされたし!!
さて今回のイベントは、第1回目のイベントの際、土木の専門用語がわからない、どこを見たら良いかわからない等の声があったため、街歩き本編の前に、小野田滋氏とカメラマンの大村拓也氏による土木講座を1時間ほど解説した上で、街歩きへ赴く、2段階の構成となっている。
街歩き本編の主なルートは下記の通りである。
(1) 御茶ノ水スクエア(集合&講義)
(2) JR御茶ノ水駅
(3) 聖橋
(4) 御茶ノ水橋梁
(5) 万世橋高架橋
(6) JR秋葉原駅
(7) JR浅草橋駅
(8) 両国橋
(9) 隅田川橋梁(総武本線)
(10) JR両国駅(解散)
というわけで、前置きが長くなったが、当日の写真等を交え、レポートします!!
かつての御茶ノ水スクエアは現在、日大となっている。最初はその講義室を使っての「土木講座」。
まずは日大の先生かつ「ドボ博認定・城下町マエストロ」の阿部貴弘先生から挨拶。
なんだか、本当の授業みたいです。
講義の前半は熱血カメラマン大村氏による土木講座。ドボ博オリジナルグッズのマスキングテープについて熱弁。続いて、橋の見方についてもさらに熱弁。(白い上着が大村氏。黒服はドボ博館長。)
土木講座の後半は、小野田氏による、今回のイベントで見るべきポイント講座。
講座も終わり、街歩きのスタート!!今回の主役、小野田氏とドボ博館長のツートップ。
最初のポイント、JR御茶ノ水駅と丸ノ内線御茶ノ水駅について語る。
「当初は御茶ノ水橋の西側にあった駅舎が東側に移ったんです。」
JR御茶ノ水駅。伊藤滋の設計によるインターナショナル・スタイルの駅舎。
動線処理等が非常に機能的。
丸ノ内線御茶ノ水駅。ル・コルビュジエの下で働いた土橋長俊によるデザイン。こちらもインターナショナル・スタイル。
聖橋は長寿命化工事中につき、中央部分は仮囲いの中。建築家の山田守がデザインに関わった。(詳細は学芸員の部屋009参照)
丸ノ内線の御茶ノ水橋。干満で水位に変動のある神田川の舟運の邪魔にならない高さに計画されているが、水面の景色も見えるように桁の高さが工夫されている。
桁の外側・上フランジのリベットはフラットに処理されている。
松住町架道橋。下路ブレースト・リブ・タイド・アーチ橋。鉄道橋では珍しい。
神田川橋梁。橋脚が川をまたぐように工夫されている。開脚式Π型ラーメン橋脚。
昌平橋架道橋。バックルプレートの上に道床バラストを敷き詰め騒音防止している。
「1904年のドイツ、ハーコート製の橋です。主桁の中央の銘板で確認できます。」
mAAchi(マーチエキュート神田万世橋)にある円形の強化ガラス部をみんなで覗き込む。
「このガラスに下には、かつての万世橋駅の基礎が残っており、見ることができます。」
「この腰壁に埋め込まれたレンガは、再開発で発生した基礎のレンガを再利用したものです!」
知らないと見過ごしますね。
万世橋高架橋は盛土式高架とレンガアーチ式高架橋で構成されている。レンガアーチ式高架橋の内部は商業施設として利用されていて、2階の旧万世橋駅ホームは、電車の通過を間近に眺めることができる展望カフェになっている。
万世橋高架橋。一見地味だが、我が国初の曲線桁。元々3径間の橋がかかっていたが、帝都復興事業で道幅を拡大し、同時に道路交通に支障しないように2径間とした。
こちらも一見なんの変哲もなく見えるが、このグレーチングの下には地下鉄銀座線が通っている。
ときおり地下鉄の匂いが上にあがってくる。かつてはここが万世橋仮駅の入口だった。
旅篭町高架橋。見た目ではわかりにくいが、鉄骨造のラーメン構造。
万世橋の小部屋の上で解説中。万世橋と地下鉄銀座線との関係はいかに。
東京万世橋間市街線。構造は鉄筋コンクリートアーチ構造で、仕上げはコンクリート仕上げのまま。
ところが反対側に回ると、表面にレンガタイルを貼っている。
東京上野橋間市街線。こちらは鉄骨または鉄筋コンクリ−トラーメン構造。
平永橋架道橋。山手線・京浜東北線がプレートガーダー橋(右)、東北上越新幹線が合成桁(左)、東北縦貫線がプレストレストコンクリート橋(中央)。
「かつてここは運河がありました。あちらから秋葉原のヨドバシカメラに向かって堀が伸びていたんです。」
なので、向こうに見える緑の鉄橋の名前も「運河橋梁」。
昭和橋架道橋。鉄道省技師から東京帝大教授となった橋梁工学の権威・田中豊の会心作。3本の主桁によるプレートガーダーを並列させて、45mを超える距離を架けている。
第一佐久間間橋高架橋。径間16.8m×16径間の巨大な鉄筋コンクリート連続アーチ高架橋。
総武線浅草橋駅。両側の相対式プラットホームは、道路の上に張り出した片持ち梁で支えられ、その下に道路空間を確保した。
震災復興橋梁の一つである柳橋の袂にて。
両国橋。3径間ゲルバー橋。
そして、両国橋の途中にある凸部にて解説。「この赤御影石の大きさが、土俵の大きさです。」
「『橋の渡り初め』の浮世絵です。渡り初めは、近隣に住んでいる3世代の夫婦を先頭にして橋を渡る習慣があります。橋の長寿を願った風習と言われています。」
総武本線隅田川橋梁をバックに、集合写真をパチリ!!
そして、街歩きの最終ポイントである両国駅に到着。両国駅には通過式と頭橋式のホームが並存している。
みなさま、今日は長時間お疲れさまでした!!
今後の企画にもご期待ください!!
■今回のルート
■関連ドボ博コンテンツ
東京インフラ027 御茶ノ水駅
東京インフラ028 聖橋
東京インフラ029 御茶ノ水橋梁
東京インフラ030 万世橋高架橋
東京インフラ031 秋葉原
東京インフラ032 昭和通りと靖国通り
東京インフラ033 両国橋
■参考文献
- 『東京鉄道遺産』 ブルーバックス:小野田滋
- 『鉄道構造物を探る』 講談社:小野田滋
- 『鉄道ファン』 連載「東京鉄道遺産をめぐる」:小野田滋
- 東京鉄道遺産をめぐる 4:駅のモダニズム〜御茶ノ水駅〜
- 東京鉄道遺産をめぐる 8:アキバをまたぐ高架橋 その1〜神田川橋梁・松住町架道橋・旅篭町高架橋〜
- 東京鉄道遺産をめぐる 8:アキバをまたぐ高架橋 その2〜御成街道架道橋・秋葉原駅・昭和橋架道橋〜
- 東京鉄道遺産をめぐる 8:アキバをまたぐ高架橋 その3〜第一佐久間町橋高架橋、浅草橋駅など〜
- 東京鉄道遺産をめぐる 16:隅田川に映える〜総武本線・隅田川橋梁