パート7 “橋の形を決めるのは地盤?”
橋の形をみていくと,だいたい東京の場合は地盤がわかるんですよ!
そうなんですか!!(驚)
ほぼ合うんです。上路アーチは地盤が良いところしかできないんですよね。神田川を通ると、ずーっと上路アーチ。
聖橋から下流は、柳橋まで全部上路アーチ。あそこって人工河川じゃないですか。だからあそこは全部地盤が良いですね。
表層の弱いところは全部剥ぎとっているから、支持地盤がすぐ出てくるんですね。
結局反力を取りやすいですよね。アーチの反力。悪いところは反力を取れないからできないんですよね。だから隅田川でも、蔵前橋、その上の駒形橋。あのあたり、めちゃくちゃ地盤が良いんですよ。
永代とか、清洲とか、地盤が悪くてズブズブですね。
同じ沖積層なので,地質的には、あまり変わらないようなイメージなんですが...
全然違うんです。永代橋とか清洲橋 は、実際に30mくらいの深さまでケーソンとい
沖積層を取り除いちゃうと、そこにまた地形が現れてくるんですね。
地盤が良いんですか??
良いんです。ちょっと上の佃大橋は20mくらい掘らないと固い地盤が出てこない。下流側にできた築地大橋。あれも30mくらいの長さになっているんです。
なんで勝鬨橋なんですか?
最初は今の位置より150mくらい上流に架ける予定だったんです。明治時代は。しかし,調査をしてみたら地盤が悪かった。周りをいっぱい地質調査しているんですよ。一番良いところを狙って架けたんですよ。
地盤に関して言うと,東京駅はやっぱり日比谷の入江の縁の上にできているので、地盤が良いんですね。東京駅は。丸ビルの方はちょっと離れてるだけなんだけど、地盤が良くないって言いますね。杭の長さが確か違うはずです。
丸ビルは関東大震災の直前の地震の際に結構やられましたもんね。
東京駅はビクともしなかったんです。田
入り江の近くを歩くとわりと古い構造物があるんですかね...
別にそこを狙って東京駅を作ったわけじゃないんですけど。偶然なんですね。
偶然なんですか!!
場所が良かった。結果的に。ちょっといくと谷になって、溺れ谷になっちゃうんですよね。
編集担当(学芸員)よりワンポイント解説(ドボク初心者向け)
座談会に関する部分について、編集担当が簡単に補足します。
■アーチ橋の種類って??
橋の中でも特に印象的な形状である「アーチ橋」。今回は、アーチ橋の形状と地盤との関係が話題になっていました。
アーチ橋は、構造としてのアーチの部分と実際に歩いたり車が走ったりする路面の位置関係から、
「上路アーチ橋」「中路アーチ橋」「下路アーチ橋」の3つに分類されます。(下図)
今回の座談会では、地盤の強さとアーチの種類が関係あることが指摘されていますね。
これはそれぞれのアーチと地面との接続部や構造の条件が異なることに由来しています。
■基礎の種類って??
橋をはじめとして、多くの構造物はその重さを支えるために、基礎を構築した上で成立しています。
地盤が固い(支持層と言われる部分)場所であれば、直接基礎とよばれるもので十分ですが、地盤が弱い(軟弱層と言われる部分)が地盤が固い層の上にある場合は、そのままでは沈下してしまったり、地震に耐えられない場合があります。
そういった場合は、地盤が固い層(支持層)に届くように、杭をうったり(杭基礎)、大型のコンクリート製や鋼製の箱を沈めたり(ケーソン基礎)して、橋のような大きな構造物を支えることができるようにしています。
基礎については、土木研究所のHPでわかりやすく解説してあります。ぜひ参考にしてみてください。
https://www.pwri.go.jp/caesar/overview/01-05.html