「土木学会の持っているアーカイブ、いろいろな古い写真・図面などを、できるだけ多くの人に見てもらいたい」
土木好きなひとだけでなく、より多くのヒトに興味をもってもらいたい。
そんな思いから、いろんな分野の”土木をたのしむ専門家”にお集まりいただき、「座談会」を開催しました。
パート3 “スリバチの魅力”
私、地図も好きで。地図はそれだけじゃ解消できない魅力があるので、ちょっと違う目線があるんですけどね。
地図だとやっぱり地形、立体地図のような?
地形が表現できるようになったおかげで、「東京って凹凸してたんだ!」っていうのがわかりやすくなりました。建物をはがすと、東京ってものすごく面白い地形をしているんだなとか。
今回の東京インフラ解剖も,骨格は川というか水の流れにしています。大地を水が削りだして、地形・坂・スリバチなりができているから。
私も最初はスリバチの一つ一つに着目していたんですが、歩いていくと、スリバチと川、スリバチとスリバチとか、つながりとか関係性でみていくようになるんですね。そうすると川も都市の中のインフラであり、土木の面白さってたぶん単体もすごく素敵なんですけど、必ず何かと関連していますよね。
川以外に何か地形を作り出す要素っていうのはあります?
東京の地形でいうと、火山灰であったりとか。あとは歴史の堆積というかいろんな人が手を加えているんですよ。そういうことが地形から読み取れたりすると、歴史も面白いぞって繋がってくるんですね。
他の場所と東京の地形は違うんですか?
そうですね。10m、20mと火山灰が降り積もっているというのが一つの特徴ですね。だからああいう急な崖をつくる、あるいはスリバチ状の谷をつくる。これは実は火山灰が関係しているんです。
大阪とはどうですか?
大阪は、地名に「さか」がつくように、坂があるんですよ。大阪はぽこっと上町台地っていうのがあって、その先端部分に大阪城があって。その辺は本もでましたね。
新之介さんが書かれていますね。地図は東京スリバチ学会の本につづいて担当させていただいています。
【 新之介著『凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩』洋泉社 2016年発売 】
その町の文化っていうのはベースとなる地形が作っているのだろうと。その地形を調べていくと、そこに必ず水が絡んでいるんですね。大阪の場合は淀川があって、舟運があって、商人の町として発展したわけですけど。どうやって治水をしながら町を発展させたかっていうのが、実は地形と水なんですね。