ドボ博 座談会 パート9

トンネルの深さと地層の深〜い関係

zadankai
「東京インフラ解剖」といきなり言われても、何の事だかよくわからない。そんな方にも、東京インフラを見る「とっかかり」を作ってもらうため、独自のこだわりをもつ専門家による、マニアックな座談会を行いました。壁マニア、地形マニア、橋マニア、鉄道マニア・・・。これを読めば、きっとあなたなりの東京インフラの見方が見つかるはずです。

 


パート9 “トンネルの深さと地層の深〜い関係”

北河さん

橋以外に皆さんグッとくる、土木関連のものはありますか?地形でもいいですが。

(土木写真家の)大村さん

鉄道とかはどうですか?

北河さん

鉄道、、、トンネルは今回の東京インフラ解剖ではあまりないですけどね。

(土木写真家の)大村さん

トンネルだったら地下鉄はやっぱり注目しないといけないですね。地質縦断図とか見ていると、それに沿ってトンネルを掘っていたりします。シールドマシンなんて、カッタービットが地質に応じて使い分けるからですね。途中で変えることができないんです。だから基本的には同じ地層を掘っていきます。

東京インフラ040 メトロ銀座線

(地図デザイナーでもある)杉浦さん

え?そうなの???

(土木写真家の)大村さん

そうなんです。それが一番工事がやりやすい理想的なやり方なんです。

(土木マニアな)八馬さん

硬さが一定の方が良い、ということですよね?

(トンネルに詳しい)大村さん

礫が出てくるとか、粘土が出てくるとかによって、全然工事の仕方が変わるので。衝撃に強いカッタービットとか、摩耗性に強いカッタービットとかあるんです。そういうのを考えると、地質縦断図で掘っているのがわかりますね。場所によっては上だけ礫で下は粘土だったりすると、シールドマシンは回転させているので。中で土砂を攪拌させているんですね。回転させて、絡めるんじゃなくて、循環させて。片栗粉みたいな感じで、ネバネバさせて。切羽が粘土みたいにして、崩れるのを抑えているんですね。

(地図デザイナーでもある)杉浦さん

へー!!!

(トンネルにとても詳しい)大村さん

ただ、礫の層と粘土の層でそうすると、礫と粘土の比率によって必要な添加物の量が変わってきちゃうんですね。そうすると硬さが変わってくるので。工事の人は、できれば同じような性質の層を掘っていきたい、っていうのはありますね。

(建築に詳しい)内田さん

それもベースはボーリングデータなんですか??

(トンネルにとても詳しい)大村さん

たぶんそうでしょうね。ただそこまで深い細かいボーリングはできないので。30mとか40m。せいぜい10mとか20mですね、きっと。

(橋に詳しい)紅林さん

中央環状品川線ってありますでしょ。あれをやったときは50mピッチで掘っているんですよ。深さはやっぱり50m?60mくらいかな。

(土木マニアな)八馬さん

山手通りの地下を通っている、C2のことですね。

東京インフラ020 首都高

東京インフラ074 大橋ジャンクション

(建築家でもある)田村さん

大島で住宅設計したときに、50mまで掘ってもらいました。40mくらいの杭を入れたんですよ。

(スリバチ学会の)皆川さん

江東区のマンションって50m〜60mの杭を入れますよ。

(橋に詳しい)紅林さん

島など島嶼はスコリアだから、全然出ないですよね、支持層は。

(土木マニアな)八馬さん

スコリアって何ですか??

(橋に詳しい)紅林さん

火山灰のことです。火山灰は2016年の熊本地震でもその地層の影響が出てましたね。

 

<パート10に続く>

 


編集担当(学芸員)による補足

■首都高のシールドトンネル工事について知ろう!

今回の座談会で話題になったシールドトンネルについて、首都高中央環状線品川線の工事ガイドに詳細が記載されています。
大村さんのお話にあった通り、地質縦断図との関係をみると出口以外は同じ地層を掘ろうとしているのがわかりますね。

 

首都高中央環状線品川線 シールドトンネル工事ガイド

http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/download/pdf/const-shield.pdf

 

パラパラまんがで知る すごいぞ!シールドトンネル
(小学生向け資料ですが、かなり専門度が高い内容なので勉強になります)

http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/kids/no01/index.html

 

■シールドマシンの掘削の様子をみてみよう(よりコアな知識を知りたい方へ)

一般社団法人日本地下鉄協会が提供するYouTube動画でシールドマシン工事の内容がよくわかります。
一度見てみると、地下の工事のダイナミックさを体験できます。
(参考URL:http://www.jametro.or.jp/100/014.html )


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