ドボ博 座談会 パート11(改訂版)

東京駅の新幹線はつながることもできる!?(改訂版)

zadankai
「東京インフラ解剖」といきなり言われても、何の事だかよくわからない。そんな方にも、東京インフラを見る「とっかかり」を作ってもらうため、独自のこだわりをもつ専門家による、マニアックな座談会を行いました。壁マニア、地形マニア、橋マニア、鉄道マニア・・・。これを読めば、きっとあなたなりの東京インフラの見方が見つかるはずです。


パート11 “東京駅の新幹線はつながることもできる!?”

(地下に興味ありな)大村さん

地下鉄はわかりやすいんですけど、下水道とかの埋設物とかはわかるんでしょうか?電力管とかNTTとかもありますよね。

(土木のなんでも守備範囲の)八馬さん

地表に近いところでは、そういった埋設物はわからないことがあるらしいんです。大きなプロジェクトの場合、大深度法※1に基づいて、通常は使用しない40m以深でいっきに通すこともあります。

※1
大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成12年5月成立 平成13年4月施行)のこと。

三大都市圏の一部において、地下40m以深ないし支持地盤上面から10m以深のどちらか深い方を大深度地下と定義し、公共的利用に使用できるとしたもの

(鉄道以外も詳しい)小野田さん

一応掘るときは「ココを掘って良いですか」って、あちこちに許可をもらいにいっていますね。

(橋に詳しい)紅林さん

地下に道路つくるときも、交差する埋設物があれば、片っ端から照会しますね。照会してる最中に、別のインフラ絡みで、逆に照会が来ちゃうこともありますけど(笑)

(いろいろと興味が広がる)大村さん

地下のインフラという話でいうと、結局、リニアも、田町の操車場の跡を使うのかなと思ったら、新幹線の真下に来るんですね。

東京インフラ078 品川

(鉄道以外も詳しい)小野田さん

新幹線やリニアの始発駅などは、国鉄時代からいろいろと検討していますよね。

ドボク素人な大山さん

計画の時間が長いですね〜〜。お話を伺っていると。

(いろいろと興味が広がる)大村さん

計画の長さで言ったら東京駅ですよね。もともと行き止まり式(頭端式)の駅じゃなくて、長距離列車が通過できる駅として1914年にできてますが、その最初の思想が、『上野東京ライン』っていう直通電車ができることで、100年越しで実現してますからね。

東京インフラ004 東京駅

(土木のなんでも守備範囲の)八馬さん

そこがアムステルダム中央駅に似ている、っていう話がありますね。外見の話じゃなくて、システムが似ている。アムステルダムも通過するんですね。ヨーロッパにしては珍しい。セントラルステーションのくせにターミナルじゃない、っていう。

北河さん

新幹線も、東京駅で通過させるという話もありましたよね。

(鉄道はとても詳しい)小野田さん

たとえば東海道新幹線を田端まで通して、東北新幹線を品川までにすると、東京駅がボトルネックにならなくて済む。スルーでお互いに通しちゃった方が楽なはずで、過去にそのような検討もされていたはずなんですけどね。

北河さん

なんでやらないんですかね??

(鉄道はとても詳しい)小野田さん

いろいろ事情があって。よく言われるのは、電気方式が違うとか、信号方式が違う、とか言うんだけど。そんなのはやる気になれば合わせられるはずです。

(土木のなんでも守備範囲の)八馬さん

なるほど。力技でっていう方法があるんですね。

(いろいろと興味が広がる)大村さん

北陸新幹線はそうですよね。北陸新幹線は(電気の周波数が)50hzと60hzの場所が交互にありますよね。長野入って60hzになって、新潟の方に出ると一度50hzに戻るんですよね。そしてまた北陸の方へ。

(鉄道はとても詳しい)小野田さん

東海道新幹線を作ったときは、いちおう北に伸ばせるような構造にしていますね。今の18・19番線と16・17番線の北端です。

北河さん

線路、繋がるんですか?

(鉄道はとても詳しい)小野田さん

繋がってはいませんが、初代の総合司令所の建物は東京駅より北へ延伸できる可能性を残して設計されていました。ただ、当時の文献にも、線路が北に延びる可能性を残しておく、ってあいまいに説明しています。

(土木のなんでも守備範囲の)八馬さん

やろうと思えば、できる状態にはなっている。

ドボク素人な大山さん

これまでの話と合わせてみると、まずは地形というところから、その間を縫うように道を作るということがあって。その後、いろんな事情が加味されて都市や鉄道ができていくわけですね。その結果、渋谷とか、新宿といった都市や東京駅や品川駅ができている、ということなんですね。

 

<パート12へ続く>

 


編集担当(学芸員)による補足

■下水道台帳から地下の水道管を見てみよう

今回話題にでてきた、地下埋設物についてですが、東京都下水道局が下水道台帳をホームページで公開しています。このホームページの地図を見てみると、地下の埋設水道管がどのようにまとめられて流れているのかがよくわかります。あなたの自宅や職場からの排水はどのようなルートを通っているか確認してみるのはいかがでしょうか?

http://www.gesuijoho.metro.tokyo.jp/semiswebsystem/SuperaPageWeb.aspx

 

■「道路管理システム(ROADIS)」によるGISによる運用
東京23区や政令指定都市の一部では、一般財団法人道路管理センターによる「道路管理システム(ROADIS)」が運用されています。このシステムでは、GIS上に様々な種類の地下埋設物(水道、電力、地下鉄など)をレイヤ別に管理しています。このシステムにより、行政や各種インフラ担当者が情報を的確に把握することができるようになっています。
http://www.roadic.or.jp/systemimage.html


 

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