都心の新たな幹線道路・環状2号が、隅田川の最下流部を横切る地点に架かる橋。築地と豊洲の新旧の<胃袋>を結ぶ橋でもある。ちなみに環状2号は、外濠沿いを通って、虎の門ヒルズの下からトンネルで都心の高層ビルの下をくぐり、築地市場の手前で再び地中にもぐって築地大橋にでる。言い換えれば、虎ノ門ヒルズは道路の上につくられた高層ビルということになる。
さて、この橋は隅田川の河口に架かるだけあってアーチスパン145mと、奥多摩橋をはるかに超える支間長をもっている。特徴的なのは、2つのアーチが頂部で連結されず、かつ、地面に対して垂直に立ち上がるのではなく外側にわずかに開くことで、歩く人に開放感をあたえるつくりになっていることである。このことは、近くの勝鬨橋と比べてみるとよくわかる。
「すべての橋は詩を発散する。小川の丸木橋から海峡をこえる鉄橋にいたるまで、橋という橋はすべてふしぎな魅力をもって私たちの心をひきつける。右岸から左岸へ人をわたすだけの、その機能のこの上ない明快さが私たちの複雑さに疲れた心をうつのだろうか。」(開高健)
単純明快な形をもちながらも、さりげない構造上の工夫で、橋を渡る魅力を高める。ここからどんな詩が発散されるのか、開通したらぜひ味わってみたいものである。(北河)
開高健:ずばり東京、光文社文庫、2007.
種別 | 道路橋 |
所在地 | 東京都中央区 |
構造形式 | 鋼製 アーチ橋 |
規模 | 橋長245m |
竣工年 | 開通年未定(2016.08.08時点) |
設計者 | 東京都 |