パート8 “構造物を支える杭と東京の地盤との関係は?”
すごく面白いですね。それで良いんだ。掘れないないから止めた。掘れないんだから良いじゃんっていう話。しっかりしているんだから良いじゃんって。
同じ川なのに。場所によってそんなに地山の深さが違うって。隅田川は人工の河川ってことなんですかね。
橋梁の竣工図面を全部入手できたら、杭の長さで元の地形がトレースできる、ってこともありうるんですかね。
ボーリングだったらありそうですね。
関東大震災の後に、復興局でボーリング調査をやるんです。それが本格的にやった最初だと思うんですけど。東京と横浜の地盤図を作るんです。
すごい規模でやってますよね。
そういうのがベースになっているんですね。
それが一番最初じゃないですかね。
建築の設計をやるときに、構造家が地盤調査、東京中の地盤調査を一つのデータにしたものはあるんですよ。ボーリングをすると、そこにデータを貯めていって。だから構造家はほとんどの地形を把握していて。そこに建築を設計すると、近くのボーリングデータが出てくるんですよ。それをみんなでシェアしていて。すごいデータなんですよ、それが。
もともと復興局の地盤図自体も、土木と建築で共有して。情報としては共有されていると思います。
でも、オープンなんですかね。その情報は。
わたしはどこから手に入れたかわからないですけど、構造家はすぐにアクセスできて。ここの敷地で建築をやりたい、って言うと、次の日にはワッときて。ここの地盤は緩いとか良いとか、教えてくれる。
それで凡その想定はできるんですよね。建てるときには必ずボーリングをしないといけない。かなり精度をあげないといけない。わりと大雑把なデータなんですけど、わかっているんですね。
でも東京の地形はわりと複雑だから。10m横にいくとわからない。
そう、全然変わったりする。
現場現場で確認しないと。
建築の現場は、よく杭の長さが足りなかったりする(笑)よく、じゃないですけど(笑)
おっと、また言えない話(笑)
【次回へつづく】
編集担当(学芸員)による補足
■地盤サポートマップを見てみよう
今回の座談会で話題になった地盤の情報については、「地盤サポートマップ」(地盤調査会社であるジャパンホームシールド㈱が提供)という地図で実際に見ることができます。詳細まではわかりませんが、例えば東京を広域で見てみると山手(西)側の方が地盤が強い場所が多く、河川や海岸に近い部分やでは弱い地盤の場所が多いこともみてとれます。
気になった方がは、ぜひ一度見てみるのはいかがでしょうか?
■関東平野の沖積層の特徴について知ろう(よりコアな知識を知りたい方へ)
座談会の中で、小野田さんが言及されていた関東大震災後の地盤調査については、復興局建築部による『東京及横浜地質調査報告書』(1929年)にまとめられています。これは関東平野の沖積層が厚く軟弱な泥などで構成され、地震の被害に影響を与えたことを示唆するものでした。東京では、沖積層の基底(支持層までの)深さの地形を知ると、より構造物の支持について知ることができます。
㈱クボタが発行していた「アーバンクボタ」では、東京の沖積層について特集しているページを読むことができます。特に「東京低地周辺の沖積層の基底の地形」の図をみると、勝鬨橋の地盤が硬かったことがみてとれます。
アーバンクボタ トップページ
https://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/
アーバンクボタ 特集「最終氷期以降の関東平野」1983.3
https://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/21/index.html
※p26-p43で関東平野の沖積層について特集しています
※p29 図3で沖積層の基底の地形についてみることができます