パート9 “トンネルの深さと地層の深〜い関係”
橋以外に皆さんグッとくる、土木関連のものはありますか?地形でもいいですが。
鉄道とかはどうですか?
鉄道、、、トンネルは今回の東京インフラ解剖ではあまりないですけどね。
トンネルだったら地下鉄はやっぱり注目しないといけないですね。地質縦断図とか見ていると、それに沿ってトンネルを掘っていたりします。シールドマシンなんて、カッタービットが地質に応じて使い分けるからですね。途中で変えることができないんです。だから基本的には同じ地層を掘っていきます。
え?そうなの???
そうなんです。それが一番工事がやりやすい理想的なやり方なんです。
硬さが一定の方が良い、ということですよね?
礫が出てくるとか、粘土が出てくるとかによって、全然工事の仕方が変わるので。衝撃に強いカッタービットとか、摩耗性に強いカッタービットとかあるんです。そういうのを考えると、地質縦断図で掘っているのがわかりますね。場所によっては上だけ礫で下は粘土だったりすると、シールドマシンは回転させているので。中で土砂を攪拌させているんですね。回転させて、絡めるんじゃなくて、循環させて。片栗粉みたいな感じで、ネバネバさせて。切羽が粘土みたいにして、崩れるのを抑えているんですね。
へー!!!
ただ、礫の層と粘土の層でそうすると、礫と粘土の比率によって必要な添加物の量が変わってきちゃうんですね。そうすると硬さが変わってくるので。工事の人は、できれば同じような性質の層を掘っていきたい、っていうのはありますね。
それもベースはボーリングデータなんですか??
たぶんそうでしょうね。ただそこまで深い細かいボーリングはできないので。30mとか40m。せいぜい10mとか20mですね、きっと。
中央環状品川線ってありますでしょ。あれをやったときは50mピッチで掘っているんですよ。深さはやっぱり50m?60mくらいかな。
山手通りの地下を通っている、C2のことですね。
大島で住宅設計したときに、50mまで掘ってもらいました。40mくらいの杭を入れたんですよ。
江東区のマンションって50m〜60mの杭を入れますよ。
島など島嶼はスコリアだから、全然出ないですよね、支持層は。
スコリアって何ですか??
火山灰のことです。火山灰は2016年の熊本地震でもその地層の影響が出てましたね。
【次回へつづく】
編集担当(学芸員)による補足
■首都高のシールドトンネル工事について知ろう!
今回の座談会で話題になったシールドトンネルについて、首都高中央環状線品川線の工事ガイドに詳細が記載されています。
大村さんのお話にあった通り、地質縦断図との関係をみると出口以外は同じ地層を掘ろうとしているのがわかりますね。
首都高中央環状線品川線 シールドトンネル工事ガイド
http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/download/pdf/const-shield.pdf
パラパラまんがで知る すごいぞ!シールドトンネル
(小学生向け資料ですが、かなり専門度が高い内容なので勉強になります)
http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/kids/no01/index.html
■シールドマシンの掘削の様子をみてみよう(よりコアな知識を知りたい方へ)
一般社団法人日本地下鉄協会が提供するYouTube動画でシールドマシン工事の内容がよくわかります。
一度見てみると、地下の工事のダイナミックさを体験できます。
(参考URL:http://www.jametro.or.jp/100/014.html )