パート23 “用水を見れば地形がわかる”
水道といえば、用水路を調べている人がいますよね。三田用水だとか、品川用水。
あれは農業用水じゃないんですか??
元々は飲料用水。江戸時代に作られたんだけどね。
玉川上水から分かれてますね。
玉川上水と、北沢で分かれて、品川へ通した、とかね。三田用水の場合は。だいたい地形的には尾根筋を辿ってますよね。一番高いところを。
三田用水が、目黒の駅のどの辺で山手線を横断していた、とかいう話もありますよね。
マニアックな人が調べていますね。
アメリカ橋(恵比寿南橋の通称)あたりですよね。
アメリカ橋?恵比寿の?
本線はもうちょっと南、目黒駅の近くで、山手線を渡ってたみたいです。そこから先も辿れるんです。
どこかで読んだことあるなぁ…
スリバチ本に書いてあります。
さりげな(笑)
ということは、用水もスリバチがわかるとみえてくるってことですね。
結局、地形の高低差ですからね。
絵葉書もありますよ。山手線の上に、鉄筋コンクリートの懸樋が架かってる。
へぇ、すごい。電車が通る上を水が流れてたんだ。
小野田さん、次から次へとすごいもの出てきますね(笑)
懸樋の奥には、昔の目黒通りの跨線橋もうつってます。鉄道橋を転用したものだけど。
今の目黒駅からは想像できない...
旧山手通りの西郷橋も、三田用水を抱えてるんです。いまだに中に水路が入ってる。
中を流れてたんですよね。
中に水路を入れないといけないから、アーチを扁平にして、上のコンクリート壁の部分を厚くしてるんです。
なるほど。確かに少し不自然なかたちしてますよね。
架かってました。駒沢通りの上に。
昭和の懐かしい風景です。
三田用水って、恵比寿ビールをつくるのにも使ってたんですよね。
三田用水で、ですか。そうなんだ!
むしろ三田用水があったから、あそこにビール工場が立地したはずですよ。
水が良くなければね。ビールもおいしくないですもんね(笑)
ほかにも三田用水のまわりの邸宅が、自分の家の庭に水ひきこんで、滝つくったりしてましたね。
琵琶湖疏水と京都東山の邸宅の関係みたいですね。
用水も結構多目的だったんだ。
用水だと、ネットにはこんなサイトもあり、詳しい地図がでています。
あれ、これ?!暗渠マニアの本田さんが作ったのじゃない?これだけ詳しいのは。
三田用水が、目黒川の左岸側に通ってますね。
尾根筋を選びながら。
尾根筋を通さないと、水は遠くまでいかないですよね。
自然流下ですから。基本はね。ポンプが無かった時代だから。
小平とか、玉川上水が通っているあたりは、測量しなくてもわかるんです、高低差が。一番高いのは玉川上水で。そこから分かれて、小平用水とか、小川用水とか。
枝分かれする用水が、東京の高低差を視覚化してるってわけですね。
【次回へつづく】
座談会アフタートーク
■暗渠学(ANKYOLOGY)をはじめてみませんか?
今回話題になった、暗渠についてですが、座談会でも登場した本田創氏による『東京暗渠学』という本が昨年出版され、ちょっとしたブームとなっています。東京の用水や小河川を暗渠の観点から様々な地図・図版とともに紹介されており、以前出版されていた『東京「暗渠」散歩』と合わせて東京の暗渠を学ぶ「ANKYOLOGY」を楽しむ上では欠かせない本となっています。
本屋さんでも旅やまちあるきコーナー、地図コーナーの近くで置かれていますのでぜひ一度手にとって見るのはいかがでしょうか?
東京暗渠学・出版社(洋泉社)紹介ページ
http://www.yosensha.co.jp/book/b308372.html
■意外と詳しい、自治体の歴史ページから用水の歴史を辿る
用水や暗渠については、ドボ博東京インフラ解剖では「049 玉川上水」や「051 羽村取水堰」などを取り上げていますが、ドボ博での情報からさらに詳細な歴史について知りたい方には自治体のHPに掲載されている歴史ページにも貴重な資料が掲載されている場合があります。その一部についてご紹介します。
□玉川上水について
「玉川上水の歴史」(東京都水道局HP)
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/kouhou/pr/tamagawa/rekishi.html
「玉川上水の歴史」(東京都小平市HP)
http://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/009/009353.html
□三田用水について
「歴史を訪ねて 三田用水」(東京都目黒区HP)
http://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/shokai_rekishi/konnamachi/michi/rekishi/tobu/mita1.html
http://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/shokai_rekishi/konnamachi/michi/rekishi/tobu/mita2.html