永代橋と並ぶ、関東大震災後の東京復興のシンボル。先端技術(ニューマチックケーソン工法、高張力マンガン鋼の使用)と、ケルンの旧ドイッツァー吊橋を洗練させたデザインによって、堅牢かつ優美な姿を実現した。隅田川の中では人気の高い橋である。
「全体として、永代よりも更に美しい形態を備へてゐる。」(木下杢太郎)
「<中空の霞にさつと黒髪がなびいてゐるやうに見える>と泉鏡花氏に言はれ、微風にもそよぐ房を垂れたやうにも見える清洲橋」(川端康成)
「隅田川の橋のなかで僕がいちばん美しいと思うのがこの橋です。・・・下流の佃島の高層ビル群を背景にして、未来都市にいるような不思議な気分にさせてくれます。」(秋元治)
「静寂なる周囲の風光に調和し・・・優味を有する吊橋を配した」(『清洲橋設計計算書』)という当初の設計意図に反して、完成後は周囲の運河ネットワークの<血流>が活性化され、「静寂」を破るかのような活力みなぎる東京の復興の姿が、ここから一望できたという。
「橋の中程に佇立むと、南の方には永代橋、北の方には新大橋の横はつてゐる川筋の眺望が、一目に見渡される。・・・これ等両岸の運河にはさまざまな運送船が輻輳してゐるので、市中川筋の眺望の中では、最も活気を帯び、また最も変化に富んだものであらう。」(永井荷風)
ただ、今は一転、高層ビル群が醸し出す不思議な静けさと調和し、「未来都市」の1シーンを演出しているかのようで、ある意味、当初の意図が実現されたのかもしれない。(北河)
荷風全集第17巻、岩波書店、1964.
川端康成全集第26巻、新潮社、1982.
木下杢太郎全集第14巻、岩波書店、1982.
秋元治:両さんと歩く下町、集英社新書、2004.
種別 | 道路橋 |
所在地 | 東京都中央区・江東区 |
構造形式 | 鋼製 吊橋 |
規模 | 橋長186m |
竣工年 | 1928年 |
管理者 | 東京都 |
設計者 | 国(内務省) |
備考 | 重要文化財 |