技術的にはかなり特殊な橋である。
くしのような形をしたアーチ橋で、くしの歯の代わりに綾状のケーブルを張る。また、車を通す桁が上下2段に分かれ、それらが綾状のケーブルによってアーチリブと結合されている。それが、荒川放水路に架かる。
またこの橋では、試験的に、首都高を走る車の振動エネルギーを、電気エネルギーに変換して、発電を行っていた。昼間の通行による蓄電で、橋のライトアップを行う。昼の<血流>で力を貯え、夜輝くという、「仕事おわり」の顔をもつ橋でもあった。
橋の左右を見ると、四角いフレームのラケット、あるいはビールの栓抜きのような形をした橋脚が、2層の道路を支えている。これは、狭い土地に道路を通すため、1本の橋脚で上下2本の道路を支えるよう、首都高が編み出した技術で、開通当時から使われている。ここでは、2層構造が続く王子側に、栓抜きが延々と連なっている。
かつて、荷風がしみじみとした情感を抱いた荒川放水路の姿はすでになく、現代インフラのエンターテイメント性の高い空間がここには広がっている。(北河)
種別 | 道路橋 |
所在地 | 東京都足立区 |
構造形式 | 鋼製 アーチ橋 |
規模 | 橋長146m |
竣工年 | 2002年 |
管理者 | 首都高速道路株式会社 |
備考 | 土木学会田中賞 |