モザイクタイルミュージアム

岐阜県多治見市

土岐郡笠原町(現在の多治見市笠原町)は、釉薬を施した磁器モザイクタイルの生産が盛んであった。1935年に山内逸三が京都の国立陶器試験所で技術を学び、開発した技術を笠原で広め、モザイクタイルの実用が成功した。笠原鉄道が敷設されると輸出も盛んに行われ、名古屋港からの主要な輸出品目としてモザイクタイルが出港した。近年は、低廉な輸入品が国内に流入しているため、その出荷額は減少をしつづけていた。こうしたタイル産業を支えるべく、モザイクタイルの収集と周知をしようと、市町村合併による整理で不要となった笠原庁舎跡地に、モザイクタイルのためのミュージアムが建設された。

 

この建物のデザインは、藤森照信によりタイル原料を掘り出す粘土山をモチーフに、個性的なものとなった。内部ではモザイクタイルの歴史展示だけでなく、体験工房やサンプル展示の場も設けられ、特にサンプル展示場では、地元タイル業者と来客者との間で商談ができるようになっている。地域の誇りとともに新たな形で産業を振興する施設となっている。

 

 

参考:

「モザイクタイルを広く知らしめる拠点を作り、タイル産業を守る」多治見市モザイクタイルミュージアム館長各務寛治氏(OKB総研調査部髙木誠、2018.1.31)

場所