釜垣の小径

愛知県瀬戸市

窯業が盛んな瀬戸のまちに特徴的な「窯垣(かまがき)」と呼ばれる窯道具を利用した壁面がある。窯道具とは、登窯の中で焼物周辺のスペースを設けるために積木のように組み合わせて積み上げる部材であり、円筒状の「エンゴロ」、板状の「タナイタ」、円柱状の「ツク」の3種類がある。これらを積石のようにして積み上げた擁壁が窯垣である。

 

その成立時期は不明であるが、同様の構造が18世紀前半の窯跡で見つかっている。現存するものは、少なくとも明治時代にはあったとされている。登窯で焼成する際に何度も用いられた窯道具は廃棄に困る事から、再利用として登窯の築造の部材としても使用され、擁壁利用もされるようになったと考えられる。窯垣は、傾斜地の多い土地柄、随所に分布しており、独特の面白い景観を創り出している。

 

 

参考:

愛知県瀬戸市の窯垣に関する調査研究(都市計画論文集)

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