四国インフラ016 谷戸における生活の場:石積み・棚田2

持続可能性と農地(樫原の棚田村,泉谷の棚田)


水稲を育てるためには豊富な水が必要である。棚田をつくる際に水源と田んぼの位置関係と、いかにして水を引き込むかということは最も大切な問題の一つであった。小規模な開墾が可能であったことから、豊富な水量の湧水点がある谷地形に沿って水田を配置する方法が特に中世で盛んに採用された。このような谷戸と呼ばれる谷上の地形にある棚田は、ヤツダ(谷田)、サコタ(迫田)などと呼ばれ、中世には安定した収量が見込める水田として江戸幕府の直轄田となる場合もあった。
傾斜地にある小規模な田んぼは機械化が困難であるため、収量と労力の観点から生産効率がよくないとされている。しかし、原地形の特性をほぼそのまま田んぼに用いているため、開墾や維持管理に使うエネルギーが少なく、土地に大きな負担をかけることなく耕作ができることから多様性や持続可能性の観点から価値が認められつつある。(金子)

この物件へいく

参考文献

海老沢衷:荘園公領制と中世村落, 校倉出版,2000.

NPO法人棚田ネットワーク編:全国棚田ガイド TANADAS,家の光協会,2017.

種別 棚田・段畑
所在地 泉谷の棚田:愛媛県喜多郡内子町 樫原の棚田村:徳島県勝浦郡上勝町
規模 泉谷の棚田:耕作面積4ha 樫原の棚田村:耕作面積4.6ha
備考 樫原の棚田村:平成22年 重要文化的景観、平成11年 日本の棚田百選
Back To Top