四国インフラ024 魚梁瀬森林鉄道


高知県安芸郡馬路村魚梁瀬地区は四国山地の最も奥に位置し、杉の名産地である。各地へ木材を出荷するために高知県安芸郡奈半利町にある奈半利川の河口へ様々な輸送手段で木材を搬出してきた。木材の主な輸送手段は江戸時代は水運、明治時代には牛馬であったが、木材の輸送量を増やすために川沿いに森林鉄道が開発されていった。昭和17年には線路の総延長は250kmになり、主要な谷筋から多くの木材を搬出していたが、トラック輸送が導入され始めたことに加え、昭和29年に水源地である魚梁瀬にダムを建設することが決定したため、魚梁瀬森林鉄道は昭和38年にほぼ全てが撤去された。過去の写真には、集団生活をしている子どもが客車に乗って近くで働く親に会いに行く様子や、魚介類やお菓子などを売る行商人に人が集っている様子などが数多く残っている。木材だけでなく、物資や、人々の共通の生活体験を運ぶ<循環器系>として重要な役割を果たしていた。線路が撤去された後は鉄道橋が車道や人道橋へと転換され、現在では産業遺産としての観光資源として取り組みが展開している。(金子)

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参考文献

舛本成行:魚梁瀬森林鉄道, ネコ・パブリッシング, 2001

種別 鉄道
所在地 高知県安芸郡安田町、馬路村、北川村、田野町、奈半利町
竣工年 明治44(1911)年〜昭和17(1942)年
管理者 高知営林局(当時)
備考 平成21年  近代化産業遺産群 平成21年 国指定重要文化財(エヤ隧道、バンダ島隧道、オオムカエ隧道、明神口橋、釜ヶ谷桟道、釜ヶ谷橋、平瀬隧道、五味隧道、落合橋、河口隧道、犬吠橋、井ノ谷橋、堀ヶ生橋、二股橋、小島橋、立岡二号桟道、八幡山跨線橋、法恩寺跨線橋)

 

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