四国インフラ013 生活の場を築く石積み:石積み・棚田1

高開の石積み,外泊集落,千町の棚田


山の斜面に生活の場を築くためには、平らな土地を造成し、近くで採れる石を使って壁をつくる必要があった。山奥の斜面に住むことは現代の生活スタイルからすれば不便だが、合理的な理由があった。谷筋を流れる水が得られやすく、川の氾濫を心配する必要がない。また、日当たりが良いため乾燥させた保存食がつくりやすく、居住環境も良い。家と田畑の立地も土地や気候をきめ細かく読み取り、決められた。谷筋は土が堆積しやすく肥沃であるため、田畑をつくり、尾根筋には強固な地盤で湿気が少ないため、家を建てた。地形に沿って石積みと平地を築き、それぞれの役割に適した土地利用をしていた。また、海岸沿いでは、風除けのために家の前に石積みを築き、水路を石積みでつくるなど、石は壁をつくるだけでなく、頑丈な建設材料として様々なところに使われている。農村の生活は、食べたものが肥料となり、近隣の木材を利用し、崩れた石材を再利用するなど、極めて狭い範囲で資源が循環する<代謝機能>が優れたライフスタイルである。(金子)

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参考文献

NPO法人棚田ネットワーク編:全国棚田ガイド TANADAS,家の光協会,2017.

種別 棚田・段畑
所在地 高開の石積み:徳島県吉野川市美郷 外泊集落:愛媛県南宇和郡愛南町 千町の棚田:愛媛県西条市千町乙
規模 千町の棚田:耕作面積60ha
備考 高開の石積み:にほんの里100選(平成21年) 外泊集落:未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選(平成18年)、美しい日本の歴史的風土100選(平成19年)
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