ドボ鉄175万博開催と日本跨座式モノレールの登場

絵はがき:日本万国博覧会協会会場内循環線(大阪府吹田市)


 1970(昭和45)年3月~9月に、大阪の千里丘陵で開催された日本万国博覧会では、広大な会場内を移動するための交通機関として、モノレールが採用された。万博開催期間のみ限定ではあったが、地方鉄道法に基づいて日本万国博覧会協会会場内循環線として免許を取得して建設され、183日間の会期中に3,351万人(1日平均約18万人)の観客を輸送した。
 それまでのモノレールは、遊園地内の遊戯施設や鉄道駅と遊園地を結ぶ短い路線などがほとんどで、本格的な都市交通機関として用いられたのは東京オリンピックにあわせて開業した東京モノレールが最初であった。また、多くは外国の特許に依存していたため、様々な制約があった。
 交通機関としてのモノレールの本格的な普及をめざすため、1964(昭和39)年に日本モノレール協会が設立され、運輸省の委託により「都市交通に適したモノレールの開発研究」の検討を開始し、1968(昭和43)年には跨座式モノレールの標準設計として日本跨座式モノレールの成案が完成した。検討にあたっては、アルウェーグ式の東京モノレールをベースとし、ゴムタイヤによる走行方式を用いた。台車は2軸ボギー式を採用し、床面をすべて同一平面として一般の電車の設計に近づけた。
 協会では日本万国博覧会の観客輸送にこの日本跨座式モノレールを採用するよう働きかけ、延長4.3kmの会場内環状線が完成した。絵はがきには、お祭り広場と太陽の塔を背景として走るモノレールの姿がおさめられ、ボギー式台車を用いた日本跨座式モノレールの特徴を確認できる。
 万博のモノレールは、無人運転方式を導入するなど未来の都市交通の姿を示し、日本跨座式モノレールの基本設計を確立した。日本跨座式モノレールはその後、北九州高速鉄道(1985年開業)、大阪モノレール(1990年開業)、多摩都市モノレール(1998年開業)、東京ディズニーランド舞浜リゾートライン(2001年開業)、沖縄都市モノレール(2003年開業)で用いられたほか、海外でも中国重慶市の重慶軌道交通(2004年開業)、アラブ首長国連邦ドバイのジュメイラ・モノレール(2009年開業)で用いられ、現在に至っている。(小野田滋)(「日本鉄道施設協会誌」2025年9月号掲載)

 

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Q&A

文中の専門用語などを解説します

Q

万博モノレールの概要を教えてください。

A

 路線は、シンボルゾーン、外国展示館、国内展示館の外周を1周し、7箇所の駅(中央口駅、エキスポランド駅、東口駅、日本庭園駅、北口駅、西口駅、水曜広場駅)を設けました。軌道はすべて単線、最急勾配は55‰、最小曲線半径は60mで、車両は4両固定編成(定員540名/編成)×6編成が製造され、単線・反時計回りで循環運転を行いました。1周の所要時間は約15分で、最高速度は50km/h、運転間隔は2分30秒~3分でした。運転は自動運転により行われ、前方確認と扉操作を行う乗務員のみの1人乗務で、営業管理は日本万国博覧会協会から東急電鉄に委託されました。(小野田滋)


”日本万国博覧会協会会場内循環線(大阪府吹田市)”番外編

師匠とその弟子・小鉄が絵はがきをネタに繰り広げる珍問答

小鉄

ドボ鉄138回で紹介した東京モノレールも跨座式ですけど、日本式ではないんですか?

師匠

お前さんは、東京モノレールに乗ったことがあるかな?

小鉄

羽田空港へ行く時によく使いますよ。

師匠

室内の様子で何か気がつかなかったか?

小鉄

そういえば、車体の前後に台があって、荷物置場で使ってますけど。

師匠

台の役割を知ってるか?

小鉄

荷物置場でしょ。空港へ行く人は荷物をたくさん持ってるから、低い位置に荷台があると便利ですよね。

師匠

たしかに荷台として使っているが、あそこはモノレールの台車が入っているタイヤハウスの部分だ。

小鉄


師匠

跨座式モノレールは桁を跨いで車体を載せるから、床下に動力装置を載せる必要がある。

小鉄

普通の電車も動力装置は床下だから、同じですよね。

師匠

それに電気を受け取るための集電装置も床下だ。

小鉄

そういえば、モノレールにはパンタグラフが無いですよね。

師匠

今ごろ気がついたのか。

小鉄

どこから電気をもらってるんですか?

師匠

ドボ鉄161回の「姫路市営モノレール」でも「軌道桁と台車の展示」という写真で紹介したが、軌道桁の側面に電気を通す剛体架線があって、台車の集電靴(しゅうでんか)と呼ばれるコレクターシューでこれをこすりながら電気をもらっている。

小鉄

モノレールの床下は、いろいろと複雑なんですね。

師匠

だから東京モノレールでは、床上を凸型にして台車の一部をここに収めたが、日本式モノレールはこれをコンパクトに収めて床面を平らにした。

小鉄

いかにも日本らしい工夫ですね。

師匠

日本は、世界的に見てもモノレールが普及している国だが、そのきっかけとなったモノレールが万博で実用化された日本式モノレールということになるかな。

小鉄

これですね。今見てもカッコイイですね。

師匠

製作にあたっては、当時の国鉄鉄道技術研究所や車両設計事務所のスタッフが監修にあたったから、リアルな模型に仕上がった。1/20スケールで、3両編成が半径2mの路線を周回した。

小鉄

師匠はエキスポ70に行きましたか?

師匠

当時はまだ名古屋で中学生をしていたが、二回ほど行った。三波春夫の「世界の国からこんにちは」は今でも歌えるぞ。こんにちは~♪こんにちは~♪……

小鉄

師匠の思い出話しが長くなりそうなんで、今日はこれで失礼します。

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