四国インフラ082 栗林公園

究極の大名庭園


高松藩主松平家11代の下屋敷に作られた庭園で、完成に至るまで100年以上の歳月がかけられたと言われている。池と島のある「池泉回遊式庭園」の形をとっており、「一歩一景」をウリにしている。ここは日本三名園にははいっていないが、明治43(1910)年に文部省が策定した「高等小学読本」に「我が国にて風致の美を以て世に聞えたるは、水戸の偕楽園、金沢の兼六園、岡山の後楽園にして、之を日本の三公園と称す。然れども高松の栗林公園は木石の雅趣却って此の三公園に優れり」と書かれ、三名園に勝ると考えられていたようだ。往時の姿をよく残すのは北湖と南湖の周囲である。ここを歩くと、丁寧に手入れされた枝ぶりの美しい松の庭、岩の多い海の風景、山の中に入ったかのような野趣あふれる小道、玉石の歩きにくさによって表現された山道、それが峠を越えるかのような起伏、石積み護岸と遣水の堰、茶屋によって演出された町の風景(これが峠を越えると現れる)、眼下に広がる松が霞のように見え江戸時代の図絵の鳥瞰図を思わせる風景など、まさに「一歩一景」の変化にとんだ風景を味わえる。これらの変化を作り出す木々の高さ、手入れ方法、島の配置などに目を向けながら歩くのも面白い。(真田)

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参考文献
白幡洋三郎:大名庭園,講談社,1997.
文部省:高等小学読本第一,1910.

種別 大名庭園
所在地 香川県高松市栗林町
規模 面積約16.2ha
管理者 香川県
備考 昭和28(1953)年特別名勝
特別名勝 栗林公園
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