四国インフラ018 坪尻駅・新改駅

移動体験の豊かさ


土讃線は香川県の多度津駅と高知県の窪川駅を南北に結ぶ路線である。讃岐山脈を通り、急峻な四国山地を通過するルートとなっている。特に香川県の琴平駅から高知県の土佐山田駅の間は最大25%の勾配があるなどかなり険しい。そのため、その間に位置する坪尻駅と新改駅は駅構内の勾配をなくすため、鋭角に進行方向を転換するスイッチバック方式となっている。戦後直後には、野菜販売に行く行商の方や通学する学生で賑わっていたが、近隣の集落の人口が減り、道路が整備されたことで、現在は利用者がほとんどいない。土讃線の路線自体も経営が黒字になるほど利用客がいない。そこで2017年から車窓からの風景を価値あるものとした観光列車が運行を始めるなど、鉄道を単なる移動の手段ではなく、豊かな移動の体験を提供できる装置として新たな取り組みを始めている。人が移動するとき、目的地に早く行くことだけでない新たな価値が<循環器系>としての鉄道に求められていることがよく分かると言えよう。(金子)

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種別
所在地 坪尻駅:徳島県三好市池田町 新改駅:高知県香美市土佐山田町
竣工年 坪尻駅:昭和25(1950)年 新改駅:昭和22(1947)年
管理者 四国旅客鉄道株式会社

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