四国インフラ002 遍路道

巡礼を支える文化


四国遍路は、弘法大師空海ゆかりの四国地方に存在する八十八箇所の霊場を巡拝することである。江戸時代に社会が安定したことを背景に庶民による巡礼が一般化し、貞享5(1688)年の僧寂本による「四国徧徧札霊場記」は多くの信者を導いたとされる。霊場は、阿波の国(徳島県)に23ヶ寺、土佐の国(高知県)に16ヶ寺、伊予の国(愛媛県)に26ヶ寺、讃岐の国(香川県)に23ヶ寺あり、多くは海岸近くに位置している。阿波の霊山寺を第1番札所とし、讃岐の大窪寺の第88番札所までを巡る四国遍路の道筋は、遍路道と言われ、同行二人の信仰心を支えている。

この遍路道沿いには、茶堂・茶屋と呼ばれる休憩所があり、四国の人々による接待文化が育まれた。また、春になると遍路の姿は多く見られるようになり、俳句においても、

「お遍路の誰もが持てる不仕合」(森白象)

という句のように、遍路は春の季語とされている。(片岡)

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参考文献

清水正史:伊予の道,愛媛文化双書刊行会,pp.46-47,2004.

武田明:巡礼と遍路,三省堂,pp.2-19,1979.

 

全長 約1100km~1400km
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